展覧会概要
タイトル:「呼吸は未だ乱れているけど、私はまだ泳いでいる」
作家名:山内凜之介
会場
PERIDOT ART CENTER + OSAKA SPACE
大阪府大阪市北区西天満4-9-2 西天満ビル108
会期
2026年9月25日(金)〜10月10日(土)
休廊日
9月27日(日)、28日(月)、10月4日(日)、5日(月)
開廊時間
10:00〜18:00
作品説明
私には暗い海の中を泳ぎ続けている感覚がある。
それは私がネガティブだからかもしれないし、差別意識に過敏に反応していることからその感覚が生まれているのかもしれない。
同性愛者として生きるのに私が生まれ育った日本という国を一面的に判断することは難しい。日常的に差別に遭うわけでもなく、カミングアウトがしづらいわけでもない。
ただ潜在的にある差別意識がふとした瞬間に表面化する時やSNS等の秘匿性を利用した発言、ヘテロセクシズムが提唱する常識、ないしは一方的に示す価値観によって進められていく社会の構造が私を不安と憂鬱に陥らせる。
昨今、セクシャルマイノリティの人権確立があらゆる制度や活動で進み続ける中でも、私の不安は拭えない。それは反対派の際立った反応や肯定派の半ば暴力的な展開が助長させているのは明らかであり、現在のLGBTQにまつわる社会情勢で判断すべきではないことを拙速に決めつつある現状とそれによって加速されていく社会のありようが孤立感を生じさせる。
そうした背景を気に留めないようにしていても、ふと恋愛した時に私の呼吸はひどく乱れてしまう。これを何度も経験し、後悔をしたにも関わらず私は「この人ならもしかしたら」と期待をしてしまう。
叶わない事実の失意に沈もうともその隙を社会は許さず、気にしないように堰き止めていた発言や法律が何度も何度も大きな波に姿を変えて、私を沈めようと身体に鞭を打ち、呼吸もままならなくなり、冷たく重い感情が底で静かに生まれる。
普段人と会話する時、特にこの表現をするようになってから私のネガティブな感情や思考を人にあまり話さない。それは友人などと話している時には、どちらかといえば楽しんでいたいというのもあるし、そういった類の会話の切り口が分からないというのもある。
生み出される沈潜した感情を絵画という形を用いて表象することは、私にとっては呼吸を整えるために必要なことであり、人に打ち明けているような感覚となる。
私の作品では確かに起点として同性愛者の要素を含むが、それを肯定、ましてや啓蒙的に唱えたいわけではない。作品を通して私の不安が鑑賞者自身の持つあらゆる不安とのパイプとして役割を果たし、それが内面化することで生まれる私と鑑賞者の感情のやり取りで内的感覚を共有することにより対話し、感情と体験の共有を果たすことを展望する。
プロフィール
山内凜之介
自身の経験を起点に、性的マイノリティをめぐる個人と社会の関係性を絵画として捉え直す。自己と他者、社会との距離を探りながら、その境界に生じる揺らぎを描き出している。
2001年 東京都生まれ
東京造形大学大学院 造形研究科 美術研究領域修了。
現在、東京を拠点に制作。
主なグループ展
2023年 「the EPIC PAINTERS vol.12」THE blank GALLERY、東京
2023年 「表出のソフィア」スペースくらげ、神奈川
2023年 「CROSS OVER Vol.44」Hsin Art Gallery、台湾
2024年 「重なる瞬間、」Gallery art point、東京
2024年 「flow +」桑沢デザイン研究所、東京